2012年6月14日木曜日

英会話の上達がないのでロゼッタストーンは返品が多いのではないか

とにかくまず見込み客に体験させリーチを長くすることや、購入へ踏み切る確率を高めるためのものだと思いますが、ロゼッタストーンでは返品保証というのをしています。購入してから一定期間内であれば、返品して購入代金が返されます。
ただそれが少し前から180日間から30日間に少なくなりました。代わりに価格が安くなっているようですが、返品対策が本音かもしれないと思っています。
返品される原因には、180日間使ったあとにわざと返品するという泥棒みたいな話ではなく、ロゼッタストーンそのものの問題もあるような気がします。

返品期間だけでなく、ロゼッタストーンはしばらく前に値上げをしました。スタジオのコスト増が原因と言われています。
高ければなおさらのこと、購入した人は、当然そこにスタジオの参加費用が含まれていると考えます。コースのソフトウェアを使っただけでは納得せず、スタジオでの満足を求めるようになるでしょう。たとえコースが目当てで購入したとしても、スタジオがあることを分かれば、購入代金にスタジオの費用が含まれていると考えます。そしてスタジオに参加しなければ損をしているような気分になります。

返品されないためには、スタジオが誰でも満足のいくものかどうかが問題になります。
スタジオに参加しなければ、購入した代金分の利用価値がないように感じて返品したくなる可能性があります。

前回も書きましたが、スタジオは本当に赤ちゃんレベルから参加できるものではありません。それどころか、はじめからある程度の会話力が必要です。会話力がないから英会話ソフトを購入しているのに、会話力が必要とはこれいかに?

生身の外国人と話さなければならないという、未経験者には高いハードルである上に、使い込んでいくとスタジオの限界や現実も見えてきます。
ロゼッタストーン以外の人件費の安い国でやっているオンラインサービスも存在しますが、そうしたものでも発音練習や正しい文法への言い換え程度の指導はできるようです。
ロゼッタストーンではネイティブを売りにしていますが、英会話の初歩中の初歩の人にとって、ネイティブも非ネイティブもたいして意味がありません。実際、ロゼッタストーンのコーチは発音指導や正しい文法への言い換え程度しかできません。それだったら、かえってネイティブでないほうが、言語の違いを知っている分だけ有利な面もありそうです。
単に楽しく会話しましょうでは、会話力のある人だけがペラペラしゃべるばかりで、本当に会話力をつける必要のある人はなんにもなりません。

英会話ソフトを購入する人は何を目的に購入しているか。その人はなぜ英会話ソフトを購入するのか。
その当たり前のことを考えた時、ロゼッタストーンのスタジオはそれをかなえるものでしょうか。

ロゼッタストーンのスタジオというのは、いつ頃からはじめられたものか知りませんが、まだまだ洗練されていないと思います。
現状では、はじめから英会話力がある人が話すためのものであって、英会話力をつけるためのものには思えません。
いかにして英会話力のない人を対象とできるか、そのあたりを考えれば、裾野に広がった英会話力のない大量の人達をターゲットにできると思いますし、それこそが英会話ソフトの本当の目的としたいところなのではないでしょうか。
英会話力をつけようと買ってみたはいいけど、その目的とちがうものとなれば、必要ないものですので返品となるのは明らかです。

例えば、スタジオを始めてからしばらくすると参加者の中で一番弱い人が見えてくると思います。コーチはそれを見極め、その人に最大の注意を払うべきです。
しかし、そうした人を対象にするのがコーチにとって一番しんどいことですから、精神的に難しいであろうことが想像できます。だから逆になっている現実があるわけです。
私は会話力のある人が、上手な受け答えをしてもGoodとでも言って適当にあしらっておけばいいと思いますが、でも会話力のない人が返答をしたら、少々下手でもExcellentだと思います。言っている意味が分かるでしょうか?しかし、これも逆になっているのが現実です。
多くのコーチが勘違いをしているのだと思います。

本当は、スタジオの構成自体を再検討した方がいいと思いますが、そのような心構えだけでも違ってくる部分があるのではないかと思います。

RosettaStoneの学習方法は破綻している

日本人は中学校や高等学校、さらにはその後の学校で英語の授業を受けています。ですので、かなりの割合でアルファベットを知っていますし、単語も相当数知っている可能性があります。文法も基本的なものであれば覚えているかもしれません。

ロゼッタストーンでは、単語も文法もあまりちゃんと教えてくれません。
コースにおける文法は、違いや特徴を自分で見つけて、発展的に理解するようになっています。
I have a book. He has a book.
IとHeでhaveとhasを使い分けます。ロゼッタストーンはその文法上の理由や法則を明確に教えてくれません。自分で違いを見抜いて理解しろということです。
これがロゼッタストーンが言うところの、ダイナミックイマージョンメソッド。子供が母国語を覚えるように自然に言語を学習でき、赤ちゃんレベルからはじめることができるということのようです。
私はこれについて、うそをつけ!と言いたいです。
誰かに教えられるか、自分で法則を見つけるかの違いであって、結局自分の中で法則を整理して理解することに違いありません。ロゼッタストーンは、言語の仕組みを頭で理解させていますが、子供が母国語を理解するのに理屈はありません。子供が母国語を理解することと、大人が第二言語を理解することは、どうしても異なります。
それで、どうするかと言いますと、文法書かインターネット検索を使って調べることになります。「haveとhasの違い」等とGoogleで検索し、主語によって動詞が変化する法則を体系的に理解しなおすことが要ります。ロゼッタストーンがちゃんと教えてくれないので、別の方法で調べなければなりません(三単現は一例であって文法全般についてのことです)。

単語の数、語彙も、かなり少ないです。最初に言ったように日本人ははじめからある程度の単語を知っているので救われていますが、ロゼッタストーンで登場する単語だけで会話しろと言われると、日常のことを話すのすら厳しいです。

そんな状況でスタジオレッスンを行います。
その結果、スタジオではコースで出てこない単語やフレーズが登場します。コースの中で出てくる内容だけでは会話が成立しません。コースの中で登場する単語だけでスタジオが完結するようにもできていません。
とてもではないですが、赤ちゃんレベルの人が本当に出席したら歯が立ちません。

それではスタジオの最中にコーチから教えてもらえるのかというと、それも難しいです。教えることも英語でしなければなりません。文法の説明など英語でされても、英語を理解できない人にはチンプンカンプンでしょう。
それに文法を教えるのは簡単ではありません。
「私は食べることができると思うだった。」
日本人が外国人からこんなセリフを聞いても、日本語ネイティブの我々は、それを言うなら
「私は食べることができると思った。」
と言いなさい。とは言えるかもしれませんが、なぜそのような勘違いをしたか、どのようにして文を組み立てるか説明するのは意外に簡単ではありません。
外国に住んでいて、母国語しか話せないスタジオコーチがそんな器用なことをできるわけがありません。
コーチが教えられるのはせいぜい単語と発音くらいです。

コーチの個性にもよるのですが、完成品をよしとすることがある疑いを持っています。
スタジオには複数の人が同時に参加します。会話力は参加者によってまちまちです。
私の個人的な趣向、考えなのかもしれませんが、そうした参加者間に格差があるとき、基本的には、最低レベルに合わせるのが正解だと思っています。
最低レベルの人に合わせなければ、最低レベルの人は事実上参加できません。想像してみてください。一部の人をのけ者にすると、スタジオ全体に嫌な空気が流れます。あなたがまともな性格の人であれば、特定の人が参加できていないスタジオに居ても居心地が悪いのではないでしょうか。参加者間に一体感が生まれず、最低なレッスンになります。自分のことではないとしても、誰かが自信をなくすようなスタジオや、寂しい気持ちになるスタジオに参加しても気持ちよくありません。
ところが、低レベルの人は、カタコトでまともに会話できません。ある程度会話ができる人と、まともに会話ができない人がいたとき、コーチはどうしても会話が出来る方に傾倒してしまいます。
コーチにとってその方が楽ですし、コーチは何も教えることができませんから会話ができない人に対処できません。
正論で言えば、できない人にこそ、時間と労力を注ぐべきなのですが、現実は逆になります。

コーチの中にはその辺りも考えているフシがある人もいるのですが、多くありません。
そのためには楽な方に逃げない強い意思が必要ですから、しっかりとしたコーチングトレーニングをしないと無理なのではないかとすら思います。

スタジオでは何も教えられない、コースでも文法と単語を十分に学習できない。
現状において、ロゼッタストーンは、それだけでは完結しておらず、他の学習方法に頼らないと成立しません。特にスタジオについてはまだまだ検討が必要な気がします。